B’zオリジナルアルバム『BREAK THROUGH』とは
B’zの『BREAK THROUGH』とは、B’zが1990年2月21日にリリースした3枚目のオリジナルアルバムです。
収録曲には、松本さんのエピソードをキッカケに制作された”となりでねむらせて“やB’zファンクラブサイトにて実施された『LIVE-GYMで聴きたいと思っているB’zナンバー』(be with! vol.116)では8位にランクインしたファンから人気の高い曲”STARDUST TRAIN“など、数々の名曲が揃っています。
『BREAK THROUGH』はB’zのオリジナルアルバムとしては初めて裏ジャケットに収録曲が記載されておらず、新品時に付属している帯に収録曲が記載されました。
また、本作からB’z初のバンドスコア(楽譜)『BREAK THROUGH+BAD COMMUNICATION』が作られ、アルバム収録曲の他に「BAD COMMUNICATION」のバンドスコアも収録されています。
このオリジナルアルバム『BREAK THROUGH』で「シングルと同時発売」「1曲目がシングル表題曲」という形式は最後となり、カップリング曲(2nd beat)も15年後にリリースされる「THE CIRCLE」まで収録されなくなります。
B’z『BREAK THROUGH』チャート記録
B’zが実験的に発売したミニ・アルバム『BAD COMMUNICATION』がロングヒットしていたことが影響してB’z初のベスト3入りを果たしました。2006年の「B’z チャートイン・アルバム売り上げデータ」では72万枚以上と記録されており、オリジナルアルバムとしては初めての大ヒットになりました。
当時、音楽業界では“アルバムを3枚リリースするまでにヒットしなければ、レコード会社から見切りをつけられる”と言われていたため、B’zのメンバー松本孝弘さんはなんとか3枚目のアルバムをリリースするまでに自分のバンドを売れさせるという明確なビジョンをもっていました。
他にも松本さんは初対面の稲葉さんに「3年以内に”GB”の表紙を飾る」「3年以内にオリコンの左ページに載る」といった『3ヶ年計画』を力説されていました。
ですがB’z3枚目のオリジナルアルバム『BREAK THROUGH』が大ヒットしたため、当時の音楽業界の通例に対して持っていた目標を達成することが出来ました。
B’z『BREAK THROUGH』のキャッチコピー
『BREAK THROUGH』感性が誘惑された。創造力が突き抜けた。
“MUSIC FREAK MAGAZINE-B’z Dictionary Vol.04″204ページ
B’z『BREAK THROUGH』のキャッチコピーは、
「感性が誘惑された。創造力が突き抜けた」。
デビュー当時のB’zは、デジタルヒューマンなサウンド作品から端的に分かるように、アルバムごとにキャッチコピーが付けられていたそうです。
B’z『BREAK THROUGH』テーマ
だからこのアルバムを作っているとき、B’zとしてやるべきこと、B’zの松本孝弘としてやるべきことを明確に持ってた。そこからくる勢いも感じてましたね。手探りではじめて、ひとつひとつ確かめつつやってきたけど、今回は勢いを持って作れたと思う。/松本孝弘
B’z The Book Treasure 16ページ
“BREAK THROUGH”はレコーディング後半に出てきた言葉なんです。だけど、その姿勢や精神はすでにボクらのなかにあった。だから、楽曲単位で書いていったのに、全体にその勢いが出てます。/稲葉浩志
B’z The Book Treasure 16ページ
全体に共通する姿勢や勢いを言葉にすると”BREAK THROUGH”。タイトル曲意外にも、同じ意味の言葉がところどころで顔をのぞかせているしね。/稲葉浩志
B’z The Book Treasure 16ページ
B’zの制作はテーマを決めて取りかかることはないのですが、この作品に対しての松本孝弘さんと稲葉浩志さんの言葉には共通して“勢い”と言う言葉があります。
また、作詞を担当する稲葉浩志さんは「詞の面で統一したテーマがあったわけですか。」という質問に対して、BREAK THROUGH(突破)の勢いや精神はアルバム全体に共通しているとおっしゃっています。
なのでアルバムタイトルにもなっている“BREAK THROUGH”(突破する)がテーマにあると思われます。
B’z『BREAK THROUGH』特徴
B’zの枠組みから突破
遊び心やチャレンジというスタンスで自由に作った『BAD COMMUNICATION』が評判よかったせいもあって、ニュー・アルバムも自由に作れました。知らず知らずに、B’zの音楽に枠を作っていたのが解放され、その枠組みを突破したと思うんだ。/松本孝弘
B’z The Book Treasure 16ページ
コンサートでの、生のリアクションからも、みんな(=観客)の音楽的感受性のキャパシティの広さにはびっくりしました。ボクらが想像するより、ずっと広いんだよ。だから、もっとバリエーションを豊富にしても届くと思えた。その影響がニュー・アルバムに出てるよね。/松本孝弘
B’z The Book Treasure 16ページ
松本さんはセールス的なものよりも自分たちの好きを優先して作った『BAD COMMUNICATION』がヒットしたことやコンサートでの観客の反応を受け、もっとバリエーションを豊富にしても届くと確信したそうです。
だから、このオリジナルアルバムの収録曲にはメロディックな曲からラップ調、ヘビィなダンス・ビート、バラードなどがあり、曲のバリエーションが豊富です。
松本さんも「B’zの音楽に枠を作っていたのが解放され、その枠組みを突破した」とおっしゃっていますし、これまでのB’zとは違った勢いのある新たなB’zとしての作品になっています。
ダイレクトな言葉
今回は、最初からどんどんダイレクトな言葉が出ていました。どんなに具体的に書いても十人十色の景色を思い浮かべて、それぞれのとらえ方で聴いてくれる。言葉には、そんな広がりがあると確信した。ボーカルについても、言葉をハッキリ伝えつつ、肩の力を抜くことができていると思います。/稲葉浩志
B’z The Book Treasure 16ページ
B’zの楽曲の作詞を担当する稲葉さんは、自分の気持ちをダイレクトに言葉にすることが恥ずかしかったそうで、デビューアルバム「B’z」の収録曲には抽象的な言葉を多く使っていました。でも、2枚目のオリジナルアルバム「OFF THE LOCK」は意識して具体的に書いたそうです。
しかし、『BREAK THROUGH』収録曲の歌詞に関しては最初からダイレクトな言葉がでてきたみたいなので、稲葉さんのストレートな表現が感じられるアルバムになっています。
B’z『BREAK THROUGH』レコーディング方法
基本的には1枚目から変わってません。それがやっとボクらにも、まわりのスタッフにも浸透してきたみたい。曲作りのうえでは、新しいエッセンスもたくさん入れたつもり。さっきも話したけど、もっと自由でいいんだって姿勢だったから。/松本孝弘
B’z The Book Treasure 16ページ
レコーディング方法は1枚目のアルバムの制作から変えていないそうですが、『BREAK THROUGH』のレコーディングは枠組みに囚われることなく自由な姿勢を意識しながら進めていたみたいです。
B’z『BREAK THROUGH』収録曲
01. LADY-GO-ROUND
02. B・U・M
03. BREAK THROUGH
04. BOYS IN TOWN
05. GUITARは泣いている
06. LOVE & CHAIN
07. となりでねむらせて
08. HEY BROTHER
09. 今では… 今なら… 今も…
10. SAVE ME!?
11. STARDUST TRAIN
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